
2018年VIXショック(ボルマゲドン)|「静けさ」の後に来た急変
2018年、それまで歴史的な低水準で推移していた米国株式市場の変動率指数(VIX指数)が、一日で急騰する出来事がありました。市場では「ボルマゲドン」とも呼ばれるこの急変は、為替市場にも波及しました。結論から言えば、この出来事は、「静かな相場が続くこと」自体が、次の急変への備えを怠らせる危険な土壌になりうることを示した事例です。この記事では、その教訓を振り返ります。
何が起きたか:異例の静けさから、一日で急騰
事の発端は、米国株式市場の変動の大きさを示す指数が、長期間にわたって歴史的な低水準で推移していたことにあります。
- 市場のボラティリティが低い状態が長く続き、多くの参加者が「この落ち着いた相場が続く」ことを前提にポジションを組んでいた
- その静けさを前提にした金融商品(ボラティリティの低下に賭ける投資商品等)に、多額の資金が集まっていた
- ある日、株式市場の急落をきっかけに、この変動率指数が一日で歴史的な急騰を見せ、その前提を組んでいた商品・ポジションが連鎖的に巻き戻された
静けさが「危険信号」だったという逆説
この出来事が教える重要な逆説は、「相場が落ち着いている状態」そのものが、次の急変のリスクを高めている場合があるということです。
- ボラティリティが低い期間が続くと、多くの参加者が「この状態が続く」という前提でリスクを取るようになる
- こうしたポジションが積み上がるほど、何かのきっかけで巻き戻しが起きた際の反動は、より大きくなりやすい
- これは、ボリンジャーバンドのスクイーズ が「その後の大きな値動きの前触れ」とされることとも、構造的に通じる考え方
つまり、「最近、相場が落ち着いているから安心」という感覚こそが、警戒すべきサインになりうるという教訓です。
為替市場への波及
この出来事は主に米国株式市場を震源としていましたが、その影響は為替市場にも及びました。
- 株式市場の急変は、リスクオン・リスクオフ の急激な転換を引き起こし、為替市場にも波及することがある
- 特に、それまでの静かな相場を前提に大きなポジションを積んでいた市場参加者ほど、急変時の巻き戻しによる影響を強く受けた
- 株式市場の出来事だからといって、為替への影響を無視できないという典型例
EA運用者への教訓:静けさへの過信
この局面から得られる教訓は、複数の観点から整理できます。
- 「最近、値動きが落ち着いているから」という理由だけで、ロットを増やしたり、通常より大きなリスクを取ったりすることの危うさ
- 勝っている時ほど謙虚という姿勢 は、値動き自体が静かな時期にも当てはめて考えるべき
- 静かな相場が続くほど、過度なレバレッジを避ける という基本を、より意識的に守る必要がある
ボラティリティの低さを「安全」と誤解しない
正常性バイアス とも関連しますが、ボラティリティが低い状態を「これからも安全」と解釈するのは危険な思い込みです。
- ボラティリティは、その時点までの値動きを反映した指標であり、将来の静けさを保証するものではない
- 静かな期間が長く続くほど、市場参加者の間でリスクへの警戒感が薄れ、結果的にポジションの偏りが積み上がりやすくなる
- この「積み上がったポジションの偏り」こそが、急変時の反動を大きくする直接的な要因になる
よくある誤解
Q. ボラティリティが低い時期は、EAにとって安全な運用環境? A. 一概にそうとは言えません。静けさが続くほど、その後の反動リスクが積み上がっている可能性があり、油断は禁物です。
Q. こうした急変は、株式市場だけの話で為替には関係ない? A. 資産クラスをまたいで、リスクオン・リスクオフの流れが波及することがあります。「自分には関係ない市場の出来事」と切り離して考えるのは危険です。
Q. ボラティリティが低い時期こそ、大きく攻めるべき? A. 逆です。静けさが続いている時期こそ、次の反動に備えて、通常以上に慎重な資金管理を心がけるべきだという教訓を、この事例は示しています。
まとめ
- 2018年のボルマゲドンは、歴史的な静けさが続いた後、一日で急変が起きた出来事。
- 静かな相場が続くこと自体が、参加者のポジションの偏りを積み上げ、次の急変の反動を大きくする土壌になりうる。
- 為替市場も、株式市場の急変から波及するリスクオフの流れの影響を受けた。
- 「落ち着いているから安全」という思い込みを持たず、静かな時期こそ慎重な資金管理を心がける姿勢が教訓となる。
嵐の前の静けさという言葉通り、静かな相場こそ、次の急変への備えを怠らない姿勢が試されます。
※ 本記事は過去の一般的な傾向を振り返る解説であり、特定の日時・出来事の相場動向を保証するものではありません。FXおよび自動売買には損失が生じる可能性があります。特定の投資判断を助言するものではありません。
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